探検


クロス探偵物語

2026/07/26(日) 22:22:44.69ID:???
第三話 ゆがんだ名門校
2026/09/22(火) 22:13:34.01ID:???
ぼくが迷惑をかけたことをわびると、
ロッジのオーナーは。
「いやなあに、よくあることだよ。
それにしても災難だったね。」
と言った。
その顔には先ほどの険しさはなく、
人の良さを感じることができた。
2026/09/22(火) 22:15:27.92ID:???
ロッジは奥まった場所にあり、
いかにもといった感じのログハウスだった。
別棟で屋根付きのガレージがある。
2026/09/22(火) 22:17:14.39ID:???
オーナーは車からぼくのバイクを降ろすと、
そこに置くように言った。
ガレージの中にはオーナーのものと思われる、
ピカピカのハーレーが2台と、
国産のバイクが3台置かれていた。
2026/09/22(火) 22:19:31.57ID:???
ぼくはバイクを置くと、
荷物を降ろしロッジに向かった。
ロッジの中はバイク乗りが集まる場所らしく、
いたるところにヘルメットやオートバイの部品が、
ディスプレイしてあり、壁じゅうに、
ここを訪れた人々の写真が貼り付けてあった。
2026/09/22(火) 22:28:42.26ID:???
ぼくは部屋に荷物を置いた後、食堂へ行った。
食堂はオープンキッチンになっていて、
その間にカウンターがあり、
中央に大きなコの字型のテーブルがある。
それを囲むようにしておかれた十数個の丸太で、
できた椅子はいかにも手作りといった感じだ。
「腹へっただろ、なんか作るから、
ちょっと待っててな。
あんたの分ほかの客が食っちまったんだ。
うちの客、さもしいやつが多いもんでな。」
オーナーはぎこちない笑顔を作ってみせた。
「私がやるからいいわよ。」
トレーナーにひざ上のスウェット姿で現れた、
涼子は、手早くエプロンをつけると、
父親を押しのけた。
「晩飯の支度も手伝わねえで、
星見に行ってたバカ娘が、
どういう風の吹き回しだ?」
「だって私、星を見るために帰ってきたんだもん。
お父さんみたいなバイクにしか興味のない人には、
わかんないわよ。ねっ!」
涼子は、ぼくの方を見てウィンクをした。
ぼくはどぎまぎしたが、
それを表に出さないように務めた。
「お前何言ってんだ?
彼だって相当のバイク好きだぞ。
なあ!」
涼子の父親の言葉に、
ぼくは薄笑いを浮かべてうなずいた。
376名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2026/09/22(火) 22:42:46.24ID:OE0/VlQN
なに
2026/09/26(土) 14:22:44.44ID:???
涼子の作った料理はどれもおいしく、
ぼくは夢中で平らげた。
その間涼子とその父親は、
ぼくと同じテーブルに座って談笑していた。
どうやらぼくはこの親子に気に入られたらしい。
2026/09/26(土) 14:26:09.05ID:???
食後のコーヒーを飲んでいると、
3人の男たちがぞろぞろとやってきた。
25、6だろうか。
常連といった感じだ。
「涼子ちゃーん、俺たちにもコーヒーちょうだい。」
涼子はうんざりした様子でコーヒーをついだ。
「じゃ、お父さん、後よろしくね。」
涼子はさっさと自分の部屋に戻っていった。
「相変わらず冷てえなあ。」
男の1人が言うと、後の2人がうなずいた。
2026/09/26(土) 14:28:56.16ID:???
その後ぼくは男たちにつかまり、
1時間近くも質問攻めにあった。
話の大半は涼子との関係を問いただすもので、
今日は初めて会ったと言ってもなかなか信じては
もらえなかった。
涼子は彼らのマドンナ的存在で、
誰もが狙っているらしいのだ。
しかし、当の本人は彼らには全く興味を
示さず、もっぱら星にのみ関心があるらしい。
2026/09/26(土) 14:32:09.56ID:???
ぼくはその日なかなか寝つけなかった。
初めての一人旅で神経が高ぶっていた
ということもあるのだろうが、
眠ってしまうのが妙に怖かったのだ。
朝、目が覚めるといつものアパートに
戻っているような気がして、
薄暗い天井をじっと見つめていた。
ぼくが眠ったのは、
夜が白々と明けてきた頃だった。
2026/09/26(土) 14:34:43.35ID:???
次の日、ぼくは壁のスピーカーから流れる
有線放送の音で目を覚ました。
多分朝食の合図なのだろう。
ぼくはあわてて服を着ると、
顔を笑って食堂へと向かった。
デッキに面したガラス戸から差し込む朝日は、
まるで太陽が自分の力を誇示するかのように
強烈だった。
2026/09/26(土) 14:37:09.08ID:???
食堂にはすでに昨日の男たちが来ていた。
カウンターに立つオーナーは
ぼくの姿を見つけると、
「おはよう。よく眠れたかい?」
と言った。
ぼくがうなずくと彼は、
「ここでいいよな。」
と言って、カウンターの真ん中に
朝食の料理を並べ始めた。
2026/09/26(土) 14:38:40.78ID:???
ぼくは3人組と同じテーブルじゃないことに
思わずほっとした。
オーナーも気を使ってくれたのだろう。
2026/09/26(土) 14:40:18.78ID:???
ぼくが食後のコーヒーを飲み終わっても、
涼子は姿を見せなかった。
このまま涼子が来るのを待っていたかったが、
チェックアウトの時間が近づいていたので、
ぼくは部屋に戻った。
2026/09/26(土) 14:42:43.27ID:???
荷物をまとめ、パンクの修理をしに
ガレージに行くと、そこには既ににオーナーがいた。
「こりゃ、タイヤ買ってこないと無理だな。」
オーナーの指差した場所は3センチほどの
亀裂が入っていて、修復を試みたあとがあった。
「中軽井沢のバイク屋に
電話してきてやるから、ちょっと待ってな。」
2026/09/28(月) 14:26:28.68ID:???
しばらくしてオーナーが渋い顔をして
戻ってきた。
「お前さんのタイヤ、在庫がないんだってよ。
これは高崎まで行くしかないな。
四輪の免許を持ってるかい?」
ぼくが持っているというと
「だったらうちの車使っていいから、
高崎まで行って買ってくるといいよ。
今地図を書いてやるから。」
といってオーナーは車のキーを投げてよこした。
「私ついでがあるから乗せてってあげる。」
いつの間にか涼子は、ぼくの後ろに立っていた。
彼女はぼくの手から車のキーを奪うと、
父親に返した。
「私が行くと、あそこのバイク屋さん、
すっごくまけてくれるのよ。」
僕には断る要素がなに一つなかった。
2026/09/28(月) 14:29:31.79ID:???
涼子の車は小さな外車だった。
四輪には詳しくないので名前はわからないが、
真っ赤なボディーに白いラインが入っていて、
とても愛きょうのある顔をしている。
ぼくを助手席に乗せると、
涼子はダンガリーシャツのソデをまくり
ドライバーズシートへと滑り込んだ。
2026/09/28(月) 14:34:58.40ID:???
涼子は運転中あまり口をきかなかった。
軽井沢を過ぎ碓氷峠にはいると、
涼子の車は本領を発揮した。
ぼくの代弁をするかのようにタイヤは
悲鳴あげエンジンはうなる。
次から次へと迫ってくるコーナーを
楽しむかのように、涼子を車を走らせた。
事実、涼子は楽しんでいた。
50ばかりのコーナーリングを終えると、
峠は終わり、道は平坦になった。
「ゴメンね、乱暴な運転して。」
そういうと涼子は小さく舌を出した。
ぼくは車をほめながら気づかれないように、
手のひらににじんだ汗をズボンで拭いた。
『血は争えない』とはこのことだろう。
2026/09/28(月) 14:36:56.36ID:???
高崎のバイク屋は、涼子の顔を見るなり
タイヤを大幅に値引きしてくれた。
バイク屋でバイトしているぼくでも、
そんな値段では手に入らない。
2026/09/28(月) 14:39:49.36ID:???
ぼくがお礼に昼食をごちそうすると言うと。
涼子はとても喜んでくれた。
涼子のリクエストの「キャラウェイ」
というレストランに入り、僕らは食事をした。
僕らは星座の話で盛り上がり、その後
話題はギリシャ神話にまで及んだ。
ぼくはこの時生まれて初めて
天文ファンであったことを神に感謝した。
2026/09/28(月) 14:41:38.00ID:???
瞬く間に時は過ぎ、僕らは帰途についた。
帰り道も涼子は存分に峠道を堪能した。
父親のことはバイクにしか興味がないなどと
言っておきながら、自分も相当のカーキチだ。
2026/09/28(月) 14:56:17.04ID:???
ロッジに着くとぼくは急いでタイヤ交換を
しなければならなかった。
チェックアウトの時間はとうに過ぎているのだ。
幸いオーナーがパンクしたタイヤを外しておいて
くれたので、1時間程度で作業が終了した。
2026/09/28(月) 15:00:12.51ID:???
ぼくはオーナーにお礼を言って
高崎で買ったみやげを手渡した。
チェックアウトすると言うと、オーナーは
もう1泊していくようにすすめてくれたが、
ぼくは丁重に断った。
涼子がやってきてお金はいらないから
泊まっていけと言ったが、ぼくはその好意に
甘えることはできなかった。
「また来てね。」
涼子は、そういうと右手を差し出した。
ぼくは涼子と握手をしながら約束を交わした。
涼子はぼくの姿が見えなくなるまで
手を振ってくれた。
2026/09/28(月) 15:02:42.16ID:???
東京に帰ったぼくは、
毎日バイトに明け暮れた。
涼子のところに行きたかったが、
免許とバイクのローンが残っているため、
とてもそんな余裕はなかった。
唯一可能性があったのは、バイト先の
バイク屋が休みになるお盆だけだったが、
母親が帰ってこいとうるさいので
仕方なく里帰りした。
2026/09/29(火) 21:44:40.31ID:???
久々の実家は居心地が良かったが、
ぼくはバイトがあると言って
3日ほどで東京に戻った。
2026/09/29(火) 21:48:09.78ID:???
更に1ヶ月が過ぎ、クーラー無しの部屋でも
やっと熟睡ができるようになった。
その日は朝から風が強く、
台風の接近が天気予報をにぎわせていた。
「今日はもうあがっていいよ。
あと3時間くらいで暴風雨圏内だってよ。」
バイク屋のオヤジはそう言って店じまいを始めた。
2026/09/29(火) 21:51:35.57ID:???
家に帰る途中、ぼくのバイクは風にあおられ
何度も危ない目にあった。
夜になると風と雨は本格的になり、
安アパートは今にもつぶれんばかりにかしいだ。
テレビも映らなくなってきたので、
仕方なく布団にはいると
突然電話のベルが鳴り響いた。
「あの、山根涼子です。軽井沢の…」
久々に聞く涼子の声だ。
「どうしたんですか?」
ぼくの問いに涼子は、なんでもないと
答えたが、その声はとても弱々しく、
今にも泣き出しそうだった。
2026/09/29(火) 21:53:29.74ID:???
ぼくがどこからかけているのかと聞くと、
涼子は横浜のアパートからだと言った。
そういえば涼子は横浜の大学に通っていると
以前聞いたことがある。
2026/09/29(火) 21:55:15.45ID:???
ぼくは涼子のか細い声に不安を感じ、
アパートまで行ってみることにした。
住所を聞くとそこは第3京浜の
港北インターのそばであることがわかった。
ここからは30分もかからないだろう。
2026/09/29(火) 21:57:04.32ID:???
ぼくはカッパを着込み台風の中
バイクを走らせた。
幸い第三京浜は通行止めになっていなかった
ので、僕は暴風雨に吹き飛ばされそうに
なりながらも、なんとかの涼子のアパートに
たどり着くことができた。
2026/09/29(火) 21:58:57.41ID:???
涼子のアパートは、ペンションと言っても
通用するくらいのしゃれた造りだった。
まだ新しく造りもしっかりしている。
ぼくのアパートとは運泥の差だ。
2階の奥の部屋に行きチャイムを押す。
2026/09/29(火) 22:02:01.10ID:???
涼子はぼくの顔を見るなり抱きついてきた。
顔面はそう白で体は小刻みにふるえている。
ぼくはただならぬ事態を感じ、
涼子に訳を聞いた。
「台風が怖いの。」
予期せぬ答にぼくはガク然とし、
体中の力が抜けた。
そして、快活で男勝りの涼子が台風を怖がる
姿を見て、ぼくは思わず吹き出してしまった。
涼子は一瞬驚いたようにぼくの顔を見ると、
急に怒りだした。
2026/09/29(火) 22:04:43.08ID:???
ぼくに笑われたことが心外だったのだろう。
謝りながらもこらえきれずに笑うぼくを見て、
涼子は
「私が台風を怖がるのってそんなにおかしい?」
と言った。
僕がうなずくと、涼子はがっかりしたように
「そうかなあ。」
とつぶやいた。
2026/09/30(水) 21:40:15.27ID:???
ぼくがズブぬれなのに気づいた涼子は、
あわててバスタオルを取ってくると
ぼくの頭を手荒に拭き始めた。
「服を脱いでこれを着て。」
渡されたスウェットは少し小さかったが、
いい匂いがした。
2026/09/30(水) 21:42:13.38ID:???
涼子の部屋は結構広く、
きれいに片づけられていた。
必要最低限の家具はシンプルで、
性別を感じさせない。
今の今まで思い切り抱きしめられていた
大きなクッションが、原型を取り戻すべく
ベッドの上でもがいていた。
2026/09/30(水) 21:44:04.66ID:???
涼子はぼくが来たことと、ぼくに笑い
飛ばされたことで、平静を取り戻していった。
風雨も多少弱まってきたようだ。
涼子はコーヒーを運んでくると、
「まさか来てくれるとは思わなかったわ。」
と言って微笑んだ。
2026/09/30(水) 21:48:20.97ID:???
ぼくは頭の中にあった疑問を
思い切ってたずねた。
「どうしてうちに電話したの?」
「う、うん、その、お父さんに、
お父さんに電話したのね。
そしたら、あなたの家の電話を教えてくれたの。
なんだかうちのお父さん
あなたのことを気に入ったみたいで、
…うちの学校女子大だから。」
涼子はしどろもどろになってこう答えた。
ぼくは納得したようなしないような気持ち
だったが、この件はもうこれ以上詮索しない
ことにした。
「私がどうして台風が怖いのかっていうとね。」
涼子は突然話し始めた。
2026/09/30(水) 21:54:05.70ID:???
「私がまだ小学校に入る前のことなんだけど。
お父さん、九州で開催されるレースに
出場したのね。
当然私もついて行ったんだけど。
レースの前の日に台風が来てて、
でもお父さんはマシンのセッティングやら
なにやらで忙しいでしょ。
だから、私1人旅館で待ってたの。
そしたら、どんどん台風が近づいてきて、
寝てられないくらいうるさくなってたの。
それが、しばらくすると急にパタッと
静かになって雨もやんじゃったから、私、
不思議に思って、窓から顔出してみたのね。
そしたら、もう怖いくらいきれいな星空で、
天の川なんかもすっごいの。
私、なんだか知らないけど魔法だと
思い込んじゃって。
きっと誰から私に、魔法で素敵なプレゼントを
くれたんだって。
そう思ったら、嬉しくって嬉しくって。
外に飛び出していって、星空を見上げながら
踊ってたの。
2026/09/30(水) 21:58:16.71ID:???
そしたら、急にまた台風がやって来て。
私、急いで戻ろうと思ったんだけど、
風が強くて思うように歩けないの。
そのうち風に吹き飛ばされそうになって、
そばにあった木にずっとしがみついてたの。
お父さんが助けに来てくれるまでの間、
1時間近くもよ。
その後、風邪ひいちゃって、
40度近くの熱が出ちゃうし、
お父さんはレースで転倒するし、さんざん。
それ以来、台風が怖くなっちゃったの。」
涼子は一方的にしゃべり終わると、
ため息をついた。
2026/09/30(水) 22:02:23.74ID:???
「ふうん、それって台風の目?」
とぼくが聞くと、涼子は
「なあんだ、知ってたの。
つまんない。」
と言ってほっぺたをふくらませた。
「前に一度聞いたことがあるんだ。
台風の目の中は素晴らしい快晴で、
雨も風もまったく無いって。
でも、本当にそんなにきれいなの?」
「うん、今までたくさん星を見てきたけど、
あれより感動したことないわ。」
涼子はそう言うと、思い出すように空中を
見つめた。
2026/09/30(水) 22:06:55.01ID:???
沈黙が流れ、ぼくは突然、深夜に女の子と
2人きりという現実を思い出した。
考えないようにすればすうるほど、
それはぼくの頭の中を支配していく。
「そろそろ帰ろうかな。」
ぼくの言葉に涼子は驚いたように
「まだ雨降ってるわよ。」
と言って、カーテンを開けた。
雨は強弱をつけながら、窓ガラスに
当たっている。
「でもお邪魔だろうし…」
「なに言ってんのよ。」
2026/09/30(水) 22:09:06.82ID:???
涼子はテレビをつけた。
画面には日本地図が表示され、
台風はふらふらとした軌跡を描きながら、
海に抜けようとしていた。
「後少しで暴風雨圏内から出るみたいだから、
そうしたら帰ればいいわ。」
涼子はそう言いながら、
僕のカップにコーヒーをそそいだ。
「じゃあお言葉には甘えて。」
2026/10/04(日) 17:00:03.62ID:???
ぼくはなんとか場をつなぐ方法を考え、
それとなく部屋を見渡した。
後ろにこの部屋には不釣り合いなほどの
大きな本棚がある。
「本好きなんだね。」
ぼくが言うと、涼子は
「でも、文字はほとんどない本ばかりなの。」
と言って笑った。
確かにそのほとんどは、美術書と星の本だった。
「友達に『あんたの読む本って
ほんとにビジュアル系ばっかりね。』って、
いつも言われるのよ。」
ぼくは涼子のセリフの中に出てきた友達が、
女言葉だったことをなんとなく嬉しく思った。
2026/10/04(日) 17:05:38.55ID:???
「画家では誰が好き?」
ぼくの質問に涼子は少し考えてから
「デュフィかな。」
と言い、そして、こう続けた。
「私きれいなものを見るのが好きなの。
絵でも星でも花火でも、きれいなものなら
なんでも好き。」
ぼくは目からウロコが落ちる思いだった。
ぼくも小さい頃から星や花火を見るのが好きだ。
柄にもなくモネやルノワール等の印象派の
絵を見るのが好きだし、写真にも興味がある。
でも、これらを
『きれいなものを見ること』と、
一緒くたにしたことはない。
それぞれ、別のことだと思っていた。
しかし言われてみればその通りだ。
美しいものを見るのが好きなのだ。
2026/10/04(日) 17:10:04.42ID:???
ぼくもそうだと言うと、涼子はやけに喜んだ。
そして、ぼくの来週の予定を聞いた。
水曜日以外はバイトだと答えると、
「じゃあ、水曜日に
横浜美術館に行きましょう。
ちょうど、デュフィ展やってるのよ。」
と言った。
「行くのはいいけど、
デュフィって知らないなあ。」
「大丈夫。堅苦しい絵じゃないから。
お花とかヴァイオリンとかの絵が多くて、
とっても素敵よ。きっと気に入るわ。」
2026/10/04(日) 17:12:07.99ID:???
涼子はそれから、デュフィやマチス、
フォービズムや野獣派について説明してくれた。
内容はイマイチ良くわからなかったが、
説明している最中の涼子の顔はハッとするほど
美しく、ぼくは思わず見とれてしまった。
2026/10/04(日) 17:14:39.84ID:???
鳥の声が聞こえてきたのでカーテンを
開けると、外は明るくなっていた。
風はまだ収まっていないが、
雨は完全にやんでいる。
ぼくが帰ると言うと、涼子は
「来てくれてありがとう。
ほんとに怖かったからとっても嬉しかったわ。」
と言って微笑んだ。
ぼくはバイクで帰る途中
ずっと涼子のことを考えていた。
2026/10/04(日) 17:25:25.19ID:???
学校が始まり、ぼくと涼子は
週に1、2回会うようになっていた。
ぼくらは、夕方、お互いの学校が終わった後
落ち合い、色々なところに星を見に行った。
奥多摩や秩父などに涼子の運転する車で行き
食事をして星を見て帰ってくる。
ぼくらはつき合っているとは言えなかったかも
しれないが、お互いの関係に満足していた。
2026/10/04(日) 17:27:20.82ID:???
夜空にペガサスが輝きだし、
牛飼いがその役目を終える頃、
涼子は僕を学園祭に招待してくれた。
涼子の学校はいわゆるお嬢様校だったので、
招待券がなければ入ることができない。
友達によるとその招待券はプラチナチケット
と呼ばれ、大変価値があるということだ。
2026/10/04(日) 17:29:10.78ID:???
女子大の学園祭ということでぼくは多少
緊張していたが、当日実際に行ってみると、
屋台や催し物を運営しているのが
すべて女性というだけで、
普通の学園祭と何ら変わりはなかった。
2026/10/04(日) 17:30:36.95ID:???
涼子が所属するスキーのサークルは、
クレープの屋台を出店していた。
涼子は主に焼き方だったが、なかなか様に
なっていて、結構繁盛していた。
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