今週放送の1回戦Fグループを予想する前に、1つ確認しておきたい
点がある。ブック――今やPファンにもすっかりお馴染となった『脚本』
を意味するプロレス専門用語だが、熱心なガチ教徒の中には、ブック
には試合のイントロからエンディングまで、次はこうして、ああして…と、
くまなく何が起こるか書いてあると勘違いする向きもある。そのため
「〇〇のあのプレーは狙って出来ない」などという頓珍漢なレスをして
しまうのだが。よーく考えてみればわかるだろう。本家プロレス同様、
ボウリングでプロレスする場合も、1フレから10フレまでガチガチに
中身を決めてしまうと、各レスラーたちの動きはどうしてもぎごちなく
なってしまう。かえって「作りもの」感が強調されてしまうのだ。従って、
途中どうしてもアドリブが必要な場面が出てくる。先週のEグループ
の演出に関して、台本屋は「最初強く当たって途中流れでお願いします」
「わかりました」という僅か2行で説明している。これは実にわかりやすい。
山田が序盤ストライク連発で強く当たるところまでは事前に打ち合わせ
できたとしても、途中、遠藤や安藤に「どうお付き合いするか」は山田に
一任せざるを得ないのだ。そういった筋書きのないアドリブ部分の
クリエイティヴィティに富むのが大石であり、Pレスリング・ノイきっての
天才レスラーと賞賛されるゆえんである。話を戻そう。ボウリング・プロレス
は基本的に「入り」の部分はある程度決まっており、「締め」に向け、途中、
アドリブが挟まる。この点は、個々の1戦のみならず、実はシリーズ全体
にも言えるのだ。70戦に置き換えると(1)寺下が無気力プレーで色物に
PッスルされるAグループから、TSが次々に姿を消すB&Cグループまで
が「最初強めに当たって〜」の部分。ここで視聴者に衝撃を与えてアングル
に引き込む。続いて(2)D〜Eは「途中流れでお願いします」のアドリブ・
パートにあたる。ここでは下位選手を中心にガチな泥試合をあえて挟み、
そのしょっぱさによってAのヤラセ感やBCがダイジェストという不自然さ
を中和しようという狙いだ。ではFグループとは何か? 単純に言うとDEの
両アドリブ・パートで生じた齟齬を、最後に回収するための調整グループ
だと考えるとわかりやすい。某氏にとって、おおよそ思い描くような結果と
なるようマッチメイクしたとはいえ、準決勝以降の展開を見越して色々と
微調整したくなる可能性はある。必要があれば最後に「塩コショウを振って
味を整える」。そう、そのために自身を残したのである。むろん「現役トップの
二人と優勝経験者のベテラン美熟女」という組み合わせは、キモヲタ以外
のボウリング・ファンにとってはアピール効果の高いゴールデン・カード。
自然とこの一戦=自身への注目度も高まる事も計算済みである。さらに。
三人誰から見ても、このメンバーで負けるのであれば…。いちおう面目が
立つではないか。そもそも、いくら某氏が権力者とはいえ現役の第一人者や
暗黒時代のボウリング界を支えた先輩に対して「色物や底辺にPッスルされ
て下さい」とは言えない。そうした諸々を込みで考えると、最後にベテラン
三人が登場するマッチメイクにならざるを得ないのである。誤算だったのは、
この組み合わせの意図が松永や名和をはじめ選手にはバレバレであり、
「なんだよ。人に色物ブック押しつけときながら、自分は負けてもプライドの
傷つかない人たちと当たるのかよ」と寺下が激怒。それが投げやりプレー
からのコメント拒否に繋がったという未確認情報もあり…。試合後コメント
の省略という番組としての様式美を崩すことにも繋がったと言われるが、
それはさておき。今回のFグループの予想に入ろう。